日大は8月10日、タイトルのようにアメフト部の無期限活動停止処分を解除した。理由は、以下の様である。これを読む限り、大学当局は、問題を個人の責として、他に容疑者は一人もおらずおらず、「膿を出し切った」と判断したわけだ。

「本学は8月5日に本学アメリカンフットボール部員1名が、覚醒剤取締法違反及び大麻取締法違反の疑いで警視庁に逮捕されましたことを受け、同日、同部を無期限活動停止処分としましたが、本日(8月10日)、同部の処分につい本学で再度協議し、同部に課した無期限活動停止処分を解除し、逮捕された部員1名のみを無期限活動停止処分とすることといたしました。」。

 ことは若者を集めて教育する「大学の寮」という場での、覚せい剤所持(おそらく使用)の問題である。大学当局は覚せい剤を「他に所持しあるいは使用した者は絶対いない」と判断したわけだ。それだけ徹底した調査を大学は行った、ということ。ですね?

 盆を前にした8月5日の逮捕から、5日を経た盆の入り口の10日の間(盆、アレ~?「盆」?正確には大学が寮に出入りし始めた6月頃から8月の間にか)。スケジュールどおりの感。お見事。記者説明会での表情のない副学長(元検事)の顔が浮かぶ。犯罪行動生態学者の視点から幾つかの「予言」が浮かぶ。

 それでも私は、長い歴史を持つ学問の府としての日本大学(日大)を信じる。

 しかし最後に個人として聴きたいのは、「その」覚せい剤は、なん月なん日のいつ、どこで、なん回、誰から入手し、どのようにして、なん回、寮内に持ち込み、使用はどこで行ったか、それを大学当局は責任を持って確認したか、その聞き取りは大学だけで行ったのか済ませたのか、ということ。捜査(取り調べ)は警察にゆだねた、というなら、その取り調べの結果を受けての10日の発表と考えてよいのか。これらのことを責任もって公表するのですね?

 「21歳の学生個人がやったこと(●●の羊?)」というには覚せい剤所持問題はあまりに大きく 深い。覚せい剤には、密輸グループから始まり、反社会的集団や半グレを中心とする密売組織と太かれ細かれつながりがある。寮とはいえ大学施設内で。

 日大のみならず、若者を通し我が国の今後に大きく響く。  

 誰も寮生に連帯責任など求めていない。ただ「所得していた可能性の有る学生が、寮内に他に居るか居ないか」を明確にしてもらいたいだけだ。

 私の若い大切な学友の日大関係者と電話口で話し合う。この際、日大は、そこに集う若者のために、徹底して膿を出し切ること。学生とその関係者が可哀そう。過去に学ばない者(組織)は歴史を繰り返す。

 警視庁は、東京農大の複数のボクシング部員を大麻所持で連続逮捕。大麻でだよ。

「薬物が出た、すぐに警察に突き出せ。それじゃ大学の意味がないじゃん、と思っちゃう。大学は教育機関。まず学生に取り調べをするなり、学生に話を聞くのが第一であって、国家権力が入る前に大学が学生に対して、いろいろ「この処分をどうするか?」っていうのを、ややもすれば、国家に反することをになるかもしれないけれど、大学がそれを学生に守るっていうのは、あってしかるべき」(太田光 2023・8・13)。

 そうかー、太田さん「教育機関として大学は学生を守る」そこで「(これだけ長い時間を置いて)覚せい剤捜査に国家権力は入る」のかー。へ。「国家権力」ってという言葉の意味と使いかた、わかるよね。覚せい剤事件だよ?それも外部の目の及び難い、多くの若者(男子だけのアメフット部員)が共同生活する閉鎖的寮でだよ?生涯続くだろう共通文化(お友だち仲間文化)の醸成熟成地。

(文責 清永賢二           2023年8月11日、13日)