「市民が日々遭遇する可能性の高い危機の実態把握とその最適な問題解決策」を確かなものとするための調査・研究そしてそれに基づく様々な提案をおこなう研究所です。

子どもの安全を科学する「犯罪からの子どもの危機実態に関する研究②2010-2011調査」

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最新!!犯罪からの子どもの危機の実態調査 2010-2011

子どもの安全を科学する 2010-2011 犯罪からの危機遭遇体験調査 最新版

ステップ総合研究所では、子どもの犯罪被害状況を把握するため、全国調査を行っております。

ここでは、2010年12月~2011年1月にかけて全国で行った子どもの被害調査の一部を掲載いたします。

調査の全体は「小学校および中学校段階における子どもの危機実態に関する比較研究2007-2010報告書」(2011年6月22日刊行 ステップ総合研究所)に載っております。どうぞ、お気軽にお問い合わせくださいませ。

(本調査は2011年11月朝日新聞、2012年3月23日NHK首都圏ネットワークでも紹介さました)

2010年・第2回犯罪からの危機実態に関する研究

―小学校・中学校を中心として―

The Second Research Report

The effect of Recent Crimes in Japan on School and Child as Seen in an Analysis of Primary and Secondary School
Children

清永賢二    日本女子大学客員教授 KENJI Kiyonaga

清永奈穂    ()ステップ総合研究所 NAHO Kiyonaga

2011530


1 調査の枠組み

1.目的

 本調査は、子どもの犯罪からの安全はどの様な状況にあるのか、特に子どや保護者さらには学校の教師の間に危機感の高かった3年前の状況から、今日どの様な変化を遂げて来ているかを改めて追跡調査することによって把握することを目的としてなされた(注1[1]

2.調査期間

 今回調査は、前回2007年10月~2008年1月の間に行われた第1回調査(以後、「第1回調査」と呼ぶ)を基に、3年経過した2010年12月~2011年1月の間に行われた(以後、「第2回調査」と呼ぶ)

調査票は基本的に第1回のものと同じ項目を採用したが、加えて「背後から襲いかかられた経験」「不審者のイメージ(自由記述)」を新しく採用した。

3,調査方法及び対象

 調査は、調査票の学校留め置き法によってなされた。具体的には、前回の第1回調査と同様に全国を8ブロックに分け、その中から調査に同意した学校=18校(小学校=9校、中学校=9校)に対し、調査票を送付し、調査を依頼した学年において、学級担任の教師の指導の下に調査実施、回収した。

 調査は、調査実施当日登校していた小学校4年生と6年生、中学校2年生に実施を依頼した。調査対象総児童・生徒数は、小学校児童=780名、中学校生徒=860名の計=1、640名となった。男女の割合に大きな差はない(表1)。

4.第1回調査と第2回調査の違い

 基本的には同一であるが、第1回調査では調査対象とならなかった中学生が第2回調査では調査対象とした。逆に第2回調査では、第1回調査では調査対象となった小学2年生を対象からはずした。理由は小学2年生では調査票形式の調査では他の学年と同一の調査票では調査不可能なこと、逆に犯罪被害として公式統計などで最も多くカウントされているのは中学生で中学生を調査する必要性の大きいことによった。

 また、調査項目は、基本的に第1回調査の項目によったが、この他に第2回調査には「後ろから襲われた経験」と「不審者イメージ」について調査した。

表1    学年と性別のクロス表

性別

男子

女子

合計

学年

小学4年生

度数

154

149

303

学年の%

50.8%

49.2%

100.0%

小学6年生

度数

251

226

477

学年の%

52.6%

47.4%

100.0%

中学2年生

度数

441

419

860

学年の%

51.3%

48.7%

100.0%

合計

度数

846

794

1640

学年の%

51.6%

48.4%

100.0%

Ⅱ 調査の結果

1.危機の定義

 本研究では、」実際に」子ども達が遭遇している「危ない目」から10の行為を選び調査した。

 「危ない目」は、①犯罪被害に遭うそのものの「危ない目」(以下、この危ない目を「危機遭遇体験」と呼ぶ)、②危機そのものではないが、その前兆的あるいは子どもや保護者等から見れば危機と写る「危ない目」)以下、「(プレ)危機遭遇体験」)、③この①と②を合わせた全ての「危ない目」(以下、「全危機遭遇体験」)に分けられる。

 具体的には、以下の行為項目である(表2)

       表2   危ない目の行為

全危機遭遇体験項目

変な人につきまとわれる+車に乗せられそうになる+変な人に体をタッチされる+変な人にジッと見つめられる+変な人に体を見せられる+変な感じの人に声をかけられる+変な感じの人に追いかけられる+脅かして物や金を盗られる+急に大声で怒鳴られる・脅かされる+その他

危機遭遇体験項目

車に乗せられそうになる(誘拐)+変な人に体をタッチされる(わいせつ)+変な人に体を見せられる(わいせつ)+変な感じの人に追いかけられる(脅迫)+脅かして物や金を盗られる(恐喝)+急に大声で怒鳴られる・脅かされる(脅迫)

前危機遭遇体験項目

変な人につきまとわれる(つきまとい)+変な人にジッと見つめられる(凝視)+変な感じの人に声をかけられる(声かけ)

2.子ども達の危機遭遇体験

(1)アップした子ども達の安全

ア.学校に在籍してからの全危機遭遇体験

 犯罪からだけでなく危ないと見られる10の行為に「学校に入ってから遭遇した」ことの「1回もない」子どもは、全体で82.6パーセント、最も多い中学生で84.0%となった。逆にいえば「遭遇経験ある」子どもは全体で17.6パーセント、最も多い小学4年生で23パーセントであった(表3)

在学年数が同じ4年生と6年生の「遭遇経験1回もない」の数値を2007年になされた第1回調査と比較してみると、今回2010年調査の結果の方が4年生2.8ポイント、6年生7.5ポイントと低くなっている(表4)。危ない目に遭う子どもは3年前に比べ着実に減少象傾向にあることがうかがえる。

表3     学年と全危機被害遭遇体験率のクロス表

全危機被害遭遇体験率

体験なし

1回あり

2回あり

3回あり

4回あり

5回以上

合計

学年

小学4年生

度数

235

45

18

6

1

0

305

学年の%

77.0%

14.8%

5.9%

2.0%

.3%

.0%

100.0%

小学6年生

度数

398

52

22

4

1

0

477

学年の%

83.4%

10.9%

4.6%

.8%

.2%

.0%

100.0%

中学2年生

度数

726

98

28

11

0

1

864

学年の%

84.0%

11.3%

3.2%

1.3%

.0%

.1%

100.0%

合計

度数

1359

195

68

21

2

1

1646


[1]「犯罪からの危機実態に関する研究」、清永賢二、楊奈穂他、日本女子大学総合研究所紀要、第13号、2010年。

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