ただ眼〈まなこ)が付いているというだけでは、脳は「それが何モノか」を識別しないし、見分けることはできない。

 不審者見分け活動の鉄則、モノの認識において、かすかでも脳の端くれに「あれは何モノか」「あれとあれはどう/なぜ違う」という意識があって、脳のモノを見分ける「力」は働く。意識しないモノは見えない/分からない(ビトゲンシュタイン)。

 子どもも大人もボケっと立っているだけでは、どうにもならない。「変だ」が分からない。だから変だを見分けるためには、「それとこう違う」という知識を、僅かですぐに無意識化してでも、事前に安全学習して体得しておかねばならない。体得無しの「ながら見守り」の効果は薄い。

(文責 清永奈穂        2023年7月17日)