2022年暮れから起こっている「強盗事件」は、その組織形態(2022年12月のHP参照)、犯行手口などから診て非常に類似性が高く、そのことから以下「連続強盗事件」と表現して分析を進めることといたします。

 この事件の始まりは、ともかく金に困った者が「それを手に入れる良い手段」がないかと「闇サイト」に接触し「非合法な集団への参加」を促されたことから始まります。この初期段階でこの「連続強盗集団」の性格が決定的に決まります。

 即ちマスコミなどが伝える捜査情報を基に考えると下記の図1に示すように、この集団は二群から構成されていると考えられます。大きく犯行現場で金品を強奪しようという「やる気に満ちた金に困った者たち」が集合した「実行役群」、そして彼ら(彼女もいるかも知れません)を闇サイトで操作する「支持役群」の二群です。

 この2群の内の実行役の群は当然マスコミなどに「目に見える形」でバーチャルに動いています。彼・彼女たちは、ただ金品強奪等の目的だけに指示役から機械的に駆り集められ「いつバラバラに解体されても良いという小集団(環節社会)を形成しているとみられます。

一方指示役の群は、指示手法として闇サイト(おそらく、さらに細かな指示はSNS)を用い「目に見えない形」で非可視的に動いています。おそらく指示役の中でも更にその中核にいる「頭=ヘッド(本当のワル。図中の最右端の⚫)」には、実践に鍛えられた並外れた知恵と度胸を持つ者で、どういった組織が自分の目的達成(おそらく金銭強奪だけではない、世の中への復讐等のごちゃ混ぜの目的)のために「最低の労力で、自分は捕まらず、最高の益をもたらすか(楽して得する)」の豊富な実践経験を持っている者が座っていると想像されます。この⚫で示された最ワルの彼・彼女は、自分は非可視的に闇サイトの後ろに隠れ集団全体を組み立て方向づけ、集団を動かすにはSNSを使い、可視的に動き回る実行部隊を間接的に操作するということを謀っているのでないかと思われます。彼・彼女にとっては、実行役は「自分の代わりに目的を効率よく達成してくれる「代理執行人(AGENT)」であり、悪く言えば使い捨ての消耗品でしかないのではないでしょうか。邪魔になればあるいは無能であれば容赦なく最ワルの指示役は、実行役を抹殺するでしょう。

 こうした「頭」を抱く集団として現在そして過去に以下の様な組織がありました。暴力団、半グレ集団、オレオレ詐欺集団等。

 今回の連続強盗集団は、この集団のどれかの可能性が高いと感じられます。しかしそれと同時に闇サイトやSNSの巧みな使い方、実行役集団の動かし方、さらには上記の組織が動いている間に「何とはなしに見えてくる本当のワルの顔」が漏れてこないという秘密主義の徹底ぶりから診て、もう少し別な効率的で巧妙度が高く、しかし冷徹な組織が考えらてきます。

 たとえば昔のフランス映画に「影の軍隊」というレジスタンスの活動組織を画いた映画がありました。何の特色もないオジサンが、冷徹な秘密軍事組織の隠れたリーダでした。またイタリアの互いにフアミリーと呼びあう犯罪者集団コーザ・ノストラの組織を画いた映画ゴッド・フアーザーを思い起こします。

 1999~2000年に清永賢二が会ったアイルランドの組織も思い出されます(彼等はロンドンデリー郊外の朝の散歩で、その指導者に会うとかならずチラッと「おはよう御座います、ミスター・ジョン」と丁寧に低い声で声かけていました)。

 さらには上記集団に非常に似かよった1970年~1980年代の過激派組織、オーム真理教テロ集団。

 単なる暴力団、半グレ集団、オレオレ詐欺集団等にはない、何か分からないが共通するニオイを連続強盗集団と上記のフランスやイタリア・アイルランドの隠れた戦闘組織そして日本の過激派や宗教テロ集団との間に嗅いでしまいます。練られ精錬された目に見えない情報ネットワーク(影の軍事情報網)。読み過ぎか?

 気をつけることは、連続強盗集団を卽暴力団、半グレ集団、オレオレ詐欺集団と単純に結びつけて考えないこと。

 ここまで書いてきたときにフイリピンで指示役を務めているらしき人物と実行役の携帯のSNSの交信が見付かったとの捜査情報がはいってきた。捜査の最終目標は、指示役群の中の最右端の人物に置かれねばならない(2023/1/26)。

(文責 鈴木良平 田中裕子 清永奈穂         2023/01/24)