日本の犯罪動向(動き)を知るのに、多くの場合、私たちは警察発表の統計数値(警察認知件数)を採用します。注意しなければならないのは、この警察認知件数は、あくまでも警察が公的に「認知=把握」できた数だということです。何らかの理由で把握できなければ件数としては「犯罪が起こった」とカウントされません。

把握できない大きな理由とし「犯罪の被害に遭った人が警察に届け出ない(でれない)」、つまり「暗数(dark figure)」の問題があります。
私たちの身の回りで実際に起こった犯罪の件数(実態)は、「警察認知の件数+暗数」です。

ですから日本が本当に安全だったか、これからも安全かを確認・検討するには、常に「暗数」を把握しておく必要があります。しかし把握といっても、これがなかなか難しい。

暗数を明らかにするには、最終的には個人の犯罪被害体験を聴き、さらにはその体験が警察に届け出られたか否かを確認しなければなりません。その時個人の経験を聴くわけですから、当然、個人のプライバシ―に立ち入らなければなりません。個人の保護という視点から大きな制約が生じます。ストレートに聴くことも被害者自身にも大きな負担をもたらし正直な回答を得にくくするでしょう。こうした問題をどうやってクリヤーするか?

さらにこうした個人保護に関わる問題のほかに警察認知統計と合計し、場合によっては比較するわけですから、警察統計の収集・整理の方法やルールに従う必要もあります。このことによっても暗数調査に制約がもたらされます。

こうした幾つもの制約がありますが、ともかく私たちは2003年から2016年に掛け4回の暗数調査を静岡県の方々と行ってきました。その結果の一部(2016年単年の罪種別数値)は、8~9月中のこのHPに載せました。

現在私たちは、この暗数調査の結果をさらに時系列的に並べ、深い分析を進めつつあります。

その結果「え~~、本当にそうか~?!」という疑問と大きな驚きを日本の犯罪動向にもたらす結果が生じています。

日本は果たして本当に安全か?安全でないとすれば何故どのように危ないのか?警察の努力にも関わらず人々の間の体感治安はなぜ低迷しているか?こうしたことについて」答えが得れそうです。

私なりの答えを早急にまとめ静岡県に報告すると同時に、できれば犯罪分析の専門家である警察関係者や学会でも検討していただくため詳細な分析を加え発表したいと思います。
(文責 清永奈穂 2017/09/10)