子どもの安全を中心に様々な課題に取り組んで参りました。現在の段階で公にできるモノ、できないモノがあふれています。

その内、皆様の目にとまるようになると思います。

その中の一つとして、ある県の小学校で犯罪体験施設をつくり安全教育を行いました。安蒜さん、木下さんという新しいメンバーが素晴らし授業をいたしました。その県の女性警察官、企業、地域ボランティアも参加し、総合的な安全教育体制づくりが成されました。

その安全教育を観察した先生が以下のような感想をお寄せくださいました。ご一読くだされば幸いです。最終報告書を作成中です。作成し終わりましたら皆様にお読みいただき、ご批判を頂きたく存じます。

(文責 清永奈穂      2020・10・26)

2020.10.15

清永先生からのご質問について

1 子供たちに少しでも犯罪から命を守る自助力がついたか

自助力が付いたかの確認する機会、場面がきちんととれていないので確信、根拠は薄いのですが、防犯ブザー、バリケード、安全基礎体力、「ひまわり」等の合言葉への知識、意識は確実に高まっています。使えてこそ、自助力が身に付いたといえるのだと思います。継続的、計画的に今回の教育活動を積み重ねていくことで、確実に自助力定着につながると思います。

また、以前や他校児童と比べて、本校児童(3,5年生)は正しい知識が身に付きました。これを「犯罪から命を守る力」と捉えるなら(捉えられると私は思いますが)、「ついた」といえるかもしれません。

実施後のアンケート結果や、行動の様子から確かに有効であったと感じます。実際に直面した時に恐怖に対応できるか、不安が残ります。

2 従前の方法よりも有効か

有効です。

本校で(多分一般の小学校で)実施してきた安全教育は、「地域安全マップづくり」だと思います。マップづくりをしないより、するほうがよいですが、実践性は全く低いと思います。「犯罪から命を守る自助力」の視点ではゼロだと思います。マップの作成にかなりの時間をかけていますが、かけた時間と効果を比較しても、今回のほうが確実に有効性が高いです。マップづくりの欠点がすべて解決したと思います。

何よりも学校では時間短縮(これは授業時数確保ほ観点からとても大切です)が図れること、そして危険箇所の確認までで終わっていたこれまでの安全マップの取り組みに加えて実際の対処方法を学べるという点が、とても有効であると思います。

3 生きていくために(大人になるために)必要な教育か

必要な教育です。

ただし、学校教育の中では、ここまで意識して扱っていないことも事実です。清永先生が安全教育は「大人を創る」「人間をつくる」という言葉をつかっていらっしゃいました。「問題解決の選択肢を養い、その知恵を自分で選び、そして選んだことに責任を取る」という3要素は、まさに新しい学習指導要領で国が目指す資質・能力(「学びに向かう力」「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力」です。正しい国を、正しい人間をつくる力だと感じました。うまく表現できませんが、犯罪者をつくらない教育、犯罪を生まない教育だと思います。

大人になる、親になるために必要な教育だと思います。

様々な危険なこと(交通事故、犯罪、自然災害、SNS等)が多い現代社会において、「危機」とはどういう状況かを知り、正しい知識を正しく選択して安全に生きることにつながる教育であると思います。

4 いつごろ(何歳ごろ)から始めたほうがよいのか

年齢は限定できませんが、一人で歩いたり、行動したりし始める時期(就学前)に安全基礎体力を学ぶことで、小学校での登下校や放課後の行動に生かせると思います。

プログラムの内容次第では、幼稚園年長ぐらいからが良いと思います。

内容等を発達段階に合わせた上で、早いにこしたことはないと思います。(幼・保からでも)

5 いじめや、性犯罪、SNSなどの問題にもプログラムの内容を工夫することによって活用できるか

活用できます。

「いやです」「だめです」「いきません」といった「きっぱり断る」姿勢、助けを求める姿勢、危ない人(こと)を察知する力、回避する力、危険を大人に伝える姿勢、自分で決める勇気等、安全基礎体力がついていればかなり防ぐことができると感じました。

生活に潜む危険やいじめについて考え、それらを起こさない、巻き込まれない対処法を学ぶという意味では有効と考えます。学校で昨年度から教科化された「道徳化」授業との兼ね合いは考慮する必要があると思います。

全て断るという点では同じと考えますが、年齢や実態等、様々な点を配慮する必要があると考えます。

最後に、やはり保護者、地域を巻き込むことでこれらの効果は大きく膨れ上がると思います。